特長

高強度・耐食性に優れるKIOKALLOY

形状記憶合金 KIOKALLOYは強度・耐食性をはじめとして多くの面で優れたNi-Ti(ニッケル・チタン)合金です。またKIOKALLOYは、当社が独自に開発した特殊溶解炉や真空アーク炉を用いた工程による素材の高純度化に加え、豊富な特殊鋼の経験を生かし、優れた数々の特長を有しています。

  • 広範な回復温度(10℃~100℃)
  • すべての溶液に対し、チタンやチタン合金に肩を並べるほどの耐食性があります。
  • 引張り強さは、約150kgf/mm2となります。
  • 大きな歪みが回復する超弾性効果 (形状回復温度以上の温度領域では、最大約8%の歪みが回復します)

主な用途

記憶効果 超弾性効果
パイプ継手(放射性廃棄物輪送パイプ) 整体用芯材
(ブラジャー、コルセット、ベビー用スタイ、帽子枠)
歯根(骨内に挿入して固定) メガネフレーム
電気コネクター(接点不良時の昇温を利用) 歯列矯正用(補綴用、アーチワイヤー)
窓の自動開閉装置 X線造影剤注入用カテーテルリード線(血管内を自在に追従)
エアコンセンサーフラップ 整形用リハビリ器具
スプリングセラー
凍結防止弁(気温の低下で蛇口が開く)
ファンクラッチ(低温時の作動停止)
温度警報器(バイメタルの代替)
医療用インプラント(血管の押し広げ)

代表成分

項目 Ni Ti Co Cu 形状回復温度
Ni-Ti 合金 (KIOKALLOY-R) 54~56 残 Bal. 20~100℃
Ni-Ti-Co 合金 (KIOKALLOY-S) 53~55 残 Bal. 1~3 -30~30℃
Ni-Ti-Cu 合金 (KIOKALLOY-T) 47~50 残 Bal. 5~9 40~70℃
  • 形状回復温度は加工条件、熱処理条件により変わります。

機械的性質

項目 Ni-Ti 合金 Ni-Ti-Co 合金 Ni-Ti-Cu 合金
マルテンサイト相
(M相)
引張強さ MPa
(kgf/mm2)
1175~1370
(120~140)
1370~1570
(140~160)
1175~1765
(120~180)
降伏強さ MPa
(kgf/mm2)
~196
(~20)
~294
(~30)
68~98
(7~10)
伸び % ~50 ~50 ~20
横弾性係数MPa
(kgf/mm2)
7845~9800
(800~1000)
9800~13730
(1000~1400)
0~4900
(0~500)
オーステナイト相
(A相)
引張強さ MPa
(kgf/mm2)
1075~1175
(110~120)
1275~1370
(130~140)
1175~1765
(120~180)
降伏強さ MPa
(kgf/mm2)
390~785
(40~80)
490~980
(50~100)
390~785
(40~80)
伸び % ~20 ~20 ~20
横弾性係数MPa
(kgf/mm2)
17650~21575
(1800~2200)
19600~24500
(2000~2500)
19615~27460
(2000~2800)
  • 機械的性質は加工条件、熱処理条件により変わります。

製品の仕様

物理的性質の比較

金属名 密度
(g/cm3)
融点
(℃)
線膨張係数
(×10-6/K)
比熱
(J/(kg・K))
熱伝導率
(W/m/℃)
比抵抗
(×10-8Ωm)
Ni-Ti
(オーステナイト相)
6.5 1250
~1280
10 440 12.1 80~100
Ni-Ti-Co
(オーステナイト相)
6.5 1250
~1280
470 12.7
Ni-Ti-Cu
(オーステナイト相)
6.4 1250
~1280
460 13.5
チタン 4.5 1668 8.4 520 17.1 55
ニッケル 8.9 1453 15 460 92.0 9.5
7.9 1530 12 460 62.8 9.7
SUS304 7.7 1400
~1420
17 500 16.3 72
8.89 1083 17 380 385.0 1.724
  • Ni-Ti合金の物理的性質は密度、融点を除き温度により変わります。