大同特殊鋼株式会社(社長:清水 哲也/以下、当社)は、JFEスチール株式会社(本社:東京都千代田区/社長:北野 嘉久/以下、JFEスチール)がCO2排出量の削減を目的として、同社東日本製鉄所(千葉地区)第4製鋼工場へ新たに導入を計画していた電気炉を受注しました。
1. 背景
2020年10月に日本政府が宣言した、2030年の温室効果ガス(GHG)排出量46%削減および2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、日本国内のGHG排出量のうち約14%を占める鉄鋼産業においても、排出量削減に対するニーズが年々高まっています。
JFEスチールでは、東日本製鉄所(千葉地区)第4製鋼工場においてステンレス鋼の製造を行っており、高炉からの溶銑と自所発生スクラップ、およびクロム鉱石やクロム含有ダストを主な原料とした製鋼プロセスを採用していますが、製鋼プロセスにおけるCO2排出量削減のためには、さらなるスクラ
ップの利用量拡大が有効であるとして、電気炉の導入を決定しました。(*1)
当社は気候変動対応を経営の最重要課題の一つと捉え、機械事業部が販売する工業炉製品においては、その省エネ性能を高めて、顧客のCO2排出量削減に貢献するための技術開発および製品開発に取り組んでいます。製鋼用の電気炉では、炉体を旋回させることでスクラップなどの原料の効率的な溶解を実現する炉体旋回式電気炉(商品名:STARQ®=スターク)を開発し、2013年に第1号機を当社知多工場(愛知県東海市)に導入して、高いCO2排出量削減性能を実証しています。(*2)また、2020年12月には、一般社団法人日本経済団体連合会が日本政府と連携し、脱炭素社会の実現をめざす企業・団体のアクションを発信する「チャレンジ・ゼロ」(*3)にSTARQ®を登録し、鉄鋼産業全体のCO2排出量削減に挑戦することを宣言しています。(*4)
当社はJFEスチールが発表した電気炉の導入計画に対して、投入する原料の種類や形状に制約がなく、ステンレス鋼などの高級鋼の製造に最適な電気炉であるSTARQ®を提案したところ、生産能力と設置スペースの両立に加えて、当社自身による10年に及ぶ操業実績や高いCO2排出量削減性能が評価を得て、今般の受注に至りました。
2. 受注した炉体旋回式電気炉(商品名:STARQ®=スターク)の概要
炉容量 | 70トン/ch |
溶解能力 | 約30万トン/年(計画) |
稼働時期 | 2025年度下期(計画) |
CO2排出削減量 | 最大約45万トン/年(計画) |
当社は、社会のカーボンニュートラル実現に向けて、省エネ性能やCO2排出量削減性能をもつ工業炉製品を拡販することで、2030年度には機械事業部単体の売上高を2022年度比およそ3倍の300億円とすることを目標にしています。
当社は、今後も特殊鋼製造メーカーとしての経験と実績に加えて、エンジニアリングの技術集団としての創造力とひらめきで、低炭素社会と循環型社会の実現に貢献し、誰もが住みよい持続可能な社会づくりをリードしていきます。
*2) 当社Webサイト STARQ®紹介ページ
*3) チャレンジ・ゼロ Webサイト
*4) チャレンジ・ゼロ Webサイト 大同特殊鋼製STARQ®紹介ページ
以 上